KOKORASHI AIKOKORASHI AI

「AIに何を任せればいいか分からない」を解決する|1週間の業務棚卸しシートの作り方

AI導入で最初につまずくのは「何を任せるか決められない」ことです。福岡の中小事業者向けに、1週間つけるだけで任せる業務が見えてくる業務棚卸しシートの作り方と使い方を解説します。

野村直矢

野村 直矢

KOKORASHI AI / 福岡のAI導入支援・LINE Bot開発

「AIを入れたいんですけど、うちの何に使えばいいか分からなくて」。福岡の中小事業者さんからいただく相談で、これが圧倒的に多いです。博多の卸売業さん、久留米の建設会社さん、天神のサロンさん、業種は違っても最初の悩みは同じでした。

結論から言います。この問いは、会議室で考えても答えが出ません。1週間、決まった3項目を記録するだけで答えは自然に浮かび上がります。福岡でAI導入支援をしているKOKORASHI AI(ココラシエーアイ)が実際に使っている「業務棚卸しシート」の作り方をそのまま公開します。

なぜ「AIで何ができますか」から始めるとうまくいかないのか

この質問から入ると、たいてい話が「他社の事例」に流れます。他社が問い合わせ対応を自動化したと聞けば、うちも問い合わせかな、となる。でも御社のボトルネックが本当に問い合わせ対応かどうかは、誰も確かめていません。

私が見てきた中で一番もったいなかったのは、立派なAIチャットを入れたのに、実際の困りごとは「見積書の作成に毎回2時間かかる」ことだったというケースです。順番が逆だったんですね。ツールから入ると、自社の本当の詰まりが見えないまま買い物が終わってしまいます。

もうひとつの理由は、時間の感覚が実態とズレていることです。「あの作業は30分くらい」と思っていた仕事が、記録してみたら実際は1時間半かかっていた。これは本当によくあります。記憶ではなく記録から始めるべき理由がここにあります。

棚卸しシートは3列だけでいい

複雑なフォーマットは続きません。スプレッドシートでも紙のノートでも構いません。必要な列は3つだけです。

  • 業務名:やったことを短く。「見積書作成」「問い合わせメール返信」「日報まとめ」など
  • かかった時間:おおよそで構いません。5分単位で十分です
  • 判断が要るか:「要る/要らない/少し要る」の3択で丸をつけるだけ

これを1週間、社内の数人に付けてもらいます。全員でなくて構いません。むしろ「一番忙しい人」と「一番若い人」の2人分あれば、傾向はほぼ見えます。私がお願いするときは、朝礼で説明して、日報の下に3行足してもらう程度にしています。増やすと続かないので、ここは我慢どころです。

1点だけコツがあります。「あとでまとめて書く」を禁止してください。その場で書かないと、記憶の時間に戻ってしまい、結局実態と離れた数字になります。

棚卸しで浮かび上がる「AI向き」の4つのサイン

1週間分が溜まったら、次の4つに当てはまる業務を探します。当てはまる数が多いほど、AIに任せやすい業務です。

  • 頻度が高い:週に何度も出てくる。月1回の仕事を自動化しても、体感はほとんど変わりません
  • 判断が少ない:「判断が要らない」に丸がついている。決まった型に流し込む仕事ほど向いています
  • 入力と出力が文章:メール、説明文、要約、転記。生成AIが最も得意な領域です
  • 間違えても取り返しがつく:社内で止まる仕事。いきなり社外に出る仕事から始めない

逆に言えば、「月1回・判断が必要・社外に直接出る」業務は最初の候補から外すべきです。効果が薄いうえにリスクが高い。ここを取り違えると、最初の一手で失敗して社内が「やっぱりAIはダメだ」となってしまいます。

AIに任せてはいけない仕事の見分け方

棚卸しをすると、必ず「これも任せられそう」と欲が出ます。ブレーキとして次の3つを覚えておいてください。

  • 間違いが金銭・法務に直結する仕事:契約条件の解釈、金額の最終確定など。AIに下調べはさせても、決定は人がする
  • お客様の感情が動く場面:クレーム対応の一次返信、お詫び文。文面の下書きまでは有効ですが、送る前に必ず人が読む
  • 自社にしかない暗黙知が答えになる仕事:ベテランの勘所が答えの中心にある業務。まずはその知識を文章化することが先で、AI活用はその次の段階です

私がいつもお伝えするのは、「AIに任せるのは作業、決めるのは人」という線です。この線さえ守れば、AI導入で大きな事故は起きません。

棚卸しから最初の1件を決める

候補が3つ4つ出たら、選ぶ基準はシンプルです。「時間×頻度」が一番大きく、かつ判断が要らないものを1件だけ選びます。

1件だけ、というのが大事です。同時に3つ着手すると、どれも中途半端になり、効果も測れません。天神のある事業者さんは「問い合わせメールの一次返信の下書き」だけに絞って始めました。地味ですが、毎日発生して、判断が少なく、下書き段階なら間違えても外に出ない。理想的な入口でした。

そして、着手する前に「今どれだけ時間がかかっているか」を棚卸しシートから控えておいてください。これが後の比較の基準になります。

棚卸しシートは導入後も効く

棚卸しシートの本当の価値は、実は導入後にあります。AI導入から1か月後、同じシートをもう1週間つけてもらう。すると、導入前と導入後の同じ業務の時間が並びます

これがあると、社内の説明がまるで変わります。「なんとなく楽になった気がする」ではなく、「この業務の1件あたりの時間がこう変わった」と話せる。稟議を通すときも、次の投資を決めるときも、この記録が一番の武器になります。根拠のない効果の数字を掲げるより、自社で実際に測った数字のほうがはるかに強い。

また、想定と違う結果が出ることもあります。時間は減らなかったけれど、担当者のストレスが減った。あるいは、時間は減ったが確認の手間が増えた。こうした事実が見えることで、次の改善が具体的になります。

まとめ

  • 「AIで何ができるか」ではなく「自社の何に時間がかかっているか」から始める
  • 棚卸しシートは「業務名・かかった時間・判断が要るか」の3列だけ。1週間、その場で記録する
  • 頻度が高い/判断が少ない/文章の仕事/間違えても社内で止まる、の4つが揃う業務を選ぶ
  • 金銭・法務・感情が絡む仕事、暗黙知が答えの仕事は最初の候補から外す
  • 着手は1件だけ。導入前の時間を控えておき、1か月後に同じシートで測り直す

KOKORASHI AIでは、この棚卸しの段階からご一緒しています。初期費用0円・月額4,800円(税込)から始められる形をご用意しているので、「何から手をつけるか」を決める段階でも遠慮なくご相談ください。福岡の事業者さんの現場を見てきた経験から、最初の1件をご提案します。

よくある質問

Q. 業務棚卸しは何人にお願いすればいいですか?
全員でなくて構いません。「一番忙しい人」と「入って日が浅い人」の2人分あれば傾向はほぼ見えます。忙しい人からはボトルネックが、日が浅い人からは手順が属人的になっている業務が見えてきます。人数を増やすほど集計が大変になり続かなくなるので、まずは少人数で1週間試してください。

Q. 時間の記録は正確でないとダメですか?
5分単位のおおよそで十分です。目的は正確な原価計算ではなく、どの業務に時間が集中しているかの傾向をつかむことだからです。ただし「あとでまとめて書く」のは避けてください。記憶で書くと実態とズレるため、その場で書く運用にすることのほうが精度より重要です。

Q. 棚卸しをしても任せられそうな業務が見つからない場合は?
その場合は、業務の単位が大きすぎることが多いです。「経理」ではなく「請求書の宛名と金額を表に転記する」というレベルまで分解してみてください。工程に分けると、判断が要る部分と要らない部分がはっきり分かれ、要らない部分だけを切り出して任せられるようになります。

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