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「AIがうちの言葉を間違える」を直す|社内用語集(表記ゆれ辞書)の作り方

AIが自社の商品名や略語、地名を間違える原因は、社内用語をAIに教えていないことです。福岡の中小事業者向けに、30分で作れる社内用語集(表記ゆれ辞書)の作り方と、AIへの渡し方を解説します。

野村直矢

野村 直矢

KOKORASHI AI / 福岡のAI導入支援・LINE Bot開発

「AIに書かせると、うちの商品名が微妙に違うんですよね」。これは福岡の事業者さんから本当によく聞く不満です。私がいつもお伝えするのは、それはAIの性能の問題ではなく、社内の言葉を一度も教えていないだけということです。用語集を1枚作って毎回渡す。それだけで、直しの手間はかなり減ります。

なぜAIは「うちの言葉」を間違えるのか

AIは世の中に出回っている文章から言葉を覚えています。だから一般名詞には強い一方で、社外に出ていない情報にはまったく手が届きません。自社の型番、社内だけで通じる略語、創業以来の言い回し。これらはインターネット上に存在しないので、AIは「それらしい別の言葉」で埋めてしまいます。

厄介なのは、間違いが自然な日本語で出てくることです。文章としては読めてしまうので、社内の人間しか気づけません。だからこそ、毎回チェックするより先に、最初に教えてしまうほうが早いのです。

用語集に入れるのは、この5種類だけ

網羅しようとすると挫折します。私がおすすめしているのは、次の5種類に絞ることです。

  • 正式名称と表記ゆれ:会社名の株式会社の位置、英字の大文字小文字、中黒やスペースの有無。
  • 社内の略語:「一次見(いちじけん)」「上物(うわもの)」のように、社内会議では通じるが社外文書では説明が要る言葉。
  • 商品名・型番・プラン名:正しい表記と、間違えられやすい表記の両方を書く。
  • 地名・現場の言葉:福岡は読みで迷う地名が多く、百道・香椎・雑餉隈といった表記をAIが崩すことがあります。取引先の地名も入れておくと安心です。
  • 使ってほしくない言葉:「格安」「完全無料」など、自社として言い切りたくない表現をNGとして明記します。

30分で作る手順

まず、直近1か月に社外へ出した文書を5本開いてください。見積書、案内メール、SNS投稿、ホームページの1ページ、請求書の備考欄あたりで十分です。そこから固有名詞を拾って、次の3列だけの表にします。

  • 正しい表記:これが唯一の正解、というもの。
  • 読み・意味:社外の人に説明するつもりで1行。
  • やりがちな間違い:過去に指摘された表記があれば必ず入れる。

糸島の製造業の方とこれを作ったときは、最初の30分で30語ほど集まりました。多ければいいものではありません。週に1回以上使う言葉だけにしてください。使わない言葉を入れると、更新されないまま古い情報がAIに渡り続けます。

AIへの渡し方は3通り

作った表は、次のいずれかの方法でAIに読ませます。

  • プロジェクト機能に置く:ChatGPTやClaudeのプロジェクト機能に用語集を入れておくと、その中での会話に毎回反映されます。いちばん手間が少ない方法です。
  • 指示文の冒頭に貼る:単発で使うなら、依頼文の先頭に用語集を貼り「以下の表記に必ず従ってください」と一文添えます。
  • 共有フォルダに置いて全員が使う:スプレッドシートで管理し、更新したら全員が同じものを貼る運用にします。人によって渡す用語集が違うと、出てくる文章もばらつきます。

用語集が効くのは文章作成だけではない

用語集を作ると、思わぬところで効いてきます。まず議事録の要約です。会議では略語が飛び交うので、用語集がないとAIは略語をそのまま残すか、意味の違う言葉に置き換えてしまいます。次に問い合わせメールの下書き。お客様は正式名称ではなく通称で書いてくることが多く、用語集があるとAIが「これは自社のあの商品のことだ」と結びつけられます。

そして新しく入った方への説明です。用語集は結果として、社内の言葉を初めて明文化した資料になります。入社初日に渡す資料が1枚増えると考えると、作る手間の元は十分に取れます。

運用は「月1回・5分」で足りる

天神のサロンさんでは、メニュー名を変えたタイミングで用語集を直す、というルールにしています。更新の担当者を1人決めることが肝心で、全員が編集できる状態にすると誰も直しません。月末の締め作業のついでに5分見直す、くらいの軽さで続きます。

KOKORASHI AI(ココラシエーアイ)でAIチャットの構築をお手伝いするときも、この用語集は最初に作っていただく資料のひとつです。チャットボットに読ませる情報の土台になりますし、社内でAIを使うときにもそのまま流用できます。初期費用0円・月額4,800円(税込)からのプランでも、まずここから整えていただくことが多いです。

まとめ

  • AIが自社の言葉を間違えるのは、社外に出ていない情報を知らないから。
  • 用語集は5種類(正式名称・略語・商品名・地名や現場語・NGワード)に絞る。
  • 3列の表で30語程度から始め、週1回以上使う言葉だけを載せる。
  • プロジェクト機能か指示文の冒頭で毎回渡し、更新担当を1人決めて月1回見直す。

よくある質問

Q. 用語集は何語くらい必要ですか?
最初は30語程度で十分です。週に1回以上使う言葉だけに絞ってください。網羅しようとすると作りきれず、更新も止まってしまいます。

Q. 用語集を渡してもAIが間違えるときは?
指示文が長すぎて用語集が埋もれている可能性があります。用語集は依頼文の先頭に置き、「以下の表記に必ず従うこと」と明記してください。それでも直らない語は、依頼のたびに個別に指定します。

Q. 顧客名や個人情報も用語集に入れていいですか?
入れないでください。用語集は自社の表記ルールに限定し、個人情報や取引先の機密は含めない運用にします。地名や一般的な取引先名など、公開情報の範囲にとどめるのが安全です。

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