KOKORASHI AIKOKORASHI AI

AIへの丸投げをやめる|作業計画を「分割実行表」で出させるプロンプト

AIに大きな仕事を丸ごと頼むと、それらしい長文が返るだけで手が動きません。作業を分けて「指示・モデル・回数・備考」の表で出させるプロンプトを、そのまま使える形で公開します。

野村直矢

野村 直矢

KOKORASHI AI / 福岡のAI導入支援・LINE Bot開発

「ChatGPTに『うちのホームページを作り直したい』と丸ごと投げたら、もっともらしい長文のアドバイスが返ってきただけで、結局あしたから何をすればいいのか分からなかった」。福岡の事業者さんから、私がいちばん多く受ける相談のかたちです。AIの性能が足りないわけではありません。大きな仕事を「1個の作業」として渡していることが原因です。私が毎回やっているのは、答えを求める前に「作業を分けた表を先に出して」と頼むこと。KOKORASHI AI(ココラシエーアイ)の実務でも、依頼の最初の一手は必ず表づくりです。

AIへの丸投げが失敗するのは、作業を塊のまま渡しているから

「ホームページを作り直す」「LINEで予約を受けられるようにする」は、人間の頭のなかでは1つの仕事です。実際には、調べる・決める・作る・確認する・公開する、という別々の工程が混ざった塊になっています。塊のまま渡されたAIは、説明する工程を絞れず、無難な総論を返します。

相談を受けていて、うまく進んでいない依頼には共通点があります。

  • 何から着手するのか分からない(順番が書かれていない)
  • 完了の条件が書かれていない(終わりの線が引かれていない)
  • 時間と費用の見当がつかない(分量が見えていない)

裏を返すと、順番・完了条件・分量の3つが最初に出てくれば、AIの回答はそのまま作業指示書になります。文章ではなく表の形で出させる理由も、3つを一目で並べられるためです。私は普段、福岡でAI導入の相談を受けながら、LINE BotやCRMの開発も自分で手を動かしています。手を動かす側の実感として、最初に表がある案件と無い案件では、初日の進み方がまったく違います。

私が毎回使っている「分割実行表」プロンプト

前置き無しで、コピーしてすぐ使える形で載せます。依頼文の先頭に貼り付けて、続けて自分のやりたいことを書くだけです。ChatGPT・Claude・Geminiのいずれでも同じように使えます。

これから依頼する仕事について、いきなり作業を始めないでください。
先に「分割実行表」だけを出してください。

## 分割実行表
| # | 指示内容 | モデル | 回数 | 備考 |
|---|---------|--------|------|------|

記入ルール:
- # … 実行する順番。同時に進められるものは備考に「#2と並列可」と書く
- 指示内容 … コピーして次の依頼にできる粒度の文にする。動詞で終える
- モデル … 軽い作業用・標準・上位のいずれを使うかと、理由を一言
- 回数 … 各ステップを何回くらい繰り返すか(見直しが要るなら「2〜3」)
- 備考 … 前のステップへの依存、注意点、完了と判断する条件

表を出したら、そこで止まってください。私が「1番から」と言うまで作業に入らないでください。
1ステップ終わるごとに、最後に次の指示文を、貼り付けてすぐ使える形で書いてください。

依頼: (ここにやりたいことを書く)

返ってくる表の例(問い合わせ返信のテンプレートを整える場合)

依頼の中身にもよりますが、だいたい次のような表が返ってきます。人間がやるしかない工程も、モデル欄に「人間」と書かせておくと抜けません。

| # | 指示内容 | モデル | 回数 | 備考 |
|---|---------|--------|------|------|
| 1 | 過去3か月の問い合わせメールを読み、質問を種類別に分類する | 軽い作業用 | 1 | 個人情報は伏せて渡す |
| 2 | 件数の多い上位5種類について、返信テンプレートの下書きを作る | 標準 | 2〜3 | #1の分類が確定してから |
| 3 | 料金と納期に触れる文面を、実際の価格表と突き合わせて修正する | 上位 | 1 | 金額の誤りは信用に直結する |
| 4 | テンプレートをメールソフトの定型文に登録し、1週間試す | 人間 | 1 | 直したい点をメモして#2へ戻す |

表が出た時点で、初日にやることは1行目だけだと分かります。4行目まで見えているので、社内の誰にいつ声をかけるかも先に決められます。

大事なのは終わりのほうの2行です。「表を出したら止まる」と書かないと、AIは表を出した勢いのまま全部やろうとして、結局また塊が返ってきます。止める一文を入れるだけで、表を見ながら順番を組み替える余地が生まれます。

表の5つの列は、何を防いでいるか

  • #(順番) … 手戻りを防ぐ。先にやると無駄になる作業が浮かび上がる
  • 指示内容 … 「調査する」で終わらせず、次の依頼文として貼れる文にさせる
  • モデル … 全部を上位AIでやる無駄と、全部を軽いAIでやる事故を同時に防ぐ
  • 回数 … 一発で終わらない作業を先に申告させる。見積もりのブレが減る
  • 備考 … 依存関係と完了条件。「何をもって終わりとするか」が言葉になる

5列のうち、抜けると一番痛いのは回数です。回数の欄が無いと、人は作業がすべて1回で終わる前提で予定を立ててしまいます。実際には、文章の作成も画像の生成も、多くは2回目・3回目で使える品質になります。回数を先に書かせておけば、途中で「思ったより時間がかかっている」と感じる場面が減ります。

「モデル」の列は3段階で書けば足りる

AIのモデル名は数か月で入れ替わります。表に固有名を書くと、新しいモデルが出るたびに表が古くなります。私はモデル名ではなく段階で指定しています。

  • 軽い作業用 … 文字起こしの整形、表記ゆれの置換、一覧の抜き出し
  • 標準 … 記事や返信文の作成、ふつうの調べもの、既存文章の修正
  • 上位 … 方針の決定、見積もりの根拠づくり、料金や契約など間違えられない判断

段階で書いておけば、来月新しいモデルが出ても表を書き直す必要はありません。契約書のたたき台づくりを軽いモデルに任せて痛い目を見る、といった事故も減ります。無料プランで試している段階なら、上位にあたるステップだけ有料プランへ切り替える判断もしやすくなります。

1ステップ終わったら「次の一手」を書かせる

表を作らせただけで満足すると、2ステップ目で手が止まります。私はステップが終わるたび、締めに次の指示文を書かせています。

いま終わったステップの結果を3行でまとめてください。
続けて「次の一手」として、次のステップに使うモデルと、
貼り付けてすぐ使える指示文を1つだけ書いてください。
指示文には対象(ファイル名・ページ名など)と、完了と判断する条件を必ず含めてください。

指示文が完成した文になっていれば、会話を分けても困りません。長い会話を続けるほどAIは前半の指示を取りこぼすので、ステップごとに新しいチャットへ移るほうが結果は安定します。前のチャットへ戻る必要が無い状態を作ることが、指示文を書かせる本当の目的です。

福岡の中小事業者が最初に試すなら

いきなり基幹システムに使わず、社内で完結する小さな仕事から始めるようにお伝えしています。天神・博多エリアの店舗さんやサロンさん、士業の方からよく挙がる相談だと、次のあたりが向いています。

  • 問い合わせメールの返信テンプレートを整える
  • 予約の受け方をLINEに寄せるまでの段取りを決める
  • 商品ページの説明文を全点ぶん書き直す
  • 補助金申請に必要な書類を洗い出して順番に並べる

4つとも、丸ごと投げれば総論が返ってきます。分割実行表を先に出させると、初日にやる作業が1つに絞れます。作業が1つに絞れた時点で、AIに任せる部分と自分で決める部分の線引きも見えてきます。KOKORASHI AIの導入支援でも、最初の打ち合わせでやることは、たいてい表づくりです。

まとめ

  • AIへの丸投げが失敗する原因は性能ではなく、作業が塊のまま渡されていること
  • 依頼の前に「分割実行表(#・指示内容・モデル・回数・備考)だけ先に出して」と頼む
  • モデル欄はモデル名ではなく、軽い作業用・標準・上位の3段階で指定する
  • 1ステップ終わるごとに「次の一手」を書かせ、チャットを切り替えながら進める

AI導入の進め方について無料で相談する

よくある質問

Q. 分割実行表は無料のChatGPTでも使えますか?
使えます。表を出す処理自体は重くないため、無料枠のモデルでも形は整います。ただし方針の決定や、料金・契約にかかわる判断は上位モデルに回してください。表の「モデル」欄を先に書かせておけば、有料プランへ切り替えるべき場面が自分でも分かります。

Q. 途中で前提が変わったら、表は作り直すべきですか?
作り直してください。「#3まで終わったが、予算が半分になった。残りの表を作り直して」と、変わった条件を具体的に伝えるのが早いです。最初の表に固執するより、条件を渡して引き直すほうが手戻りが少なくて済みます。

Q. 社内の他の人にも同じやり方を広めるには?
プロンプトを1つのファイルにして共有し、依頼文の先頭に貼るルールにしてください。人によってAIの出力の粒度が変わる原因は、才能ではなく貼っている前置きの差です。KOKORASHI AIでは、よく使う前置きを社内の共通テンプレートとしてまとめる支援も行っています。

無料メルマガ

福岡の中小事業者向け、AI活用のヒントを月数回お届け

今日のような記事の要点と、関心のあるテーマに合わせたおすすめ記事をメールでお送りします。

試す段階から、AIに任せる段階へ

社長専用のAI経営チームを30分で構築するスターターキット「No2」。買い切りなので、今日読んだ使い方をそのまま自社の仕組みにできます。

LINEで無料相談