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AIツールのアカウントは誰が管理していますか|退職・異動で困らない棚卸しの手順

AIツールは契約した日ではなく、担当者が辞める日に問題が起きます。福岡の中小事業者向けに、AIツールの棚卸し表の作り方、退職・異動時の5ステップ、個人アカウントで始めた場合の直し方を解説します。

野村直矢

野村 直矢

KOKORASHI AI / 福岡のAI導入支援・LINE Bot開発

「前の担当者が入れたAIツール、誰も中身を知らないんです」。福岡の中小事業者さんから、退職や異動の後にいただく相談で一番多い言葉です。私がいつもお伝えしているのは、AIツールで問題が起きるのは契約した日ではなく、担当者が辞める日だということです。AI導入支援を行うKOKORASHI AI(ココラシエーアイ)として、棚卸し表の作り方と、退職・異動が決まったときの手順を具体的にまとめます。

AIツールだけ「誰の持ち物か」が曖昧になる3つの理由

社内システムには管理台帳があるのに、AIツールだけ抜け落ちる会社をよく見ます。理由は3つあります。

  • 金額が小さい:月額数千円なら、現場の判断で契約できてしまいます
  • 個人名義で始まる:無料プランを個人のメールアドレスで試し、そのまま有料化する流れが多いです
  • 成果が個人に紐づく:使いこなした人だけが効果を出すので、周りが中身を知らないままになります

博多の卸売会社さんでは、営業担当者が自分のクレジットカードでAIツールを契約し、経費精算で処理していました。退職の申し出があってから、契約の存在に気づいた形です。安いことは導入のハードルを下げますが、同時に管理の網から漏れる原因にもなります。

まず作るのは1枚の棚卸し表(項目7つ)

難しい台帳は要りません。スプレッドシート1枚に、7つの列を作ってください。

  • ツール名:サービスの正式名称
  • 用途:何の業務に使っているか、1行で
  • 契約者と支払い方法:会社名義か個人名義か、どのカードで払っているか
  • 管理者アカウント:設定を変更できるアカウントのメールアドレス
  • 料金と更新日:月額か年額か、次の更新日はいつか
  • 入れているデータ:顧客名・金額・写真など、渡した情報の種類
  • 退職時にやること:削除か、名義変更か、解約か

7列のうち、実務で一番効くのは「入れているデータ」の欄です。顧客名が入っているツールと、文章の言い回しを直すだけのツールでは、退職時の扱いがまったく変わります。

棚卸しの集め方:現場に聞くより支払いから逆算する

「使っているAIツールを申告してください」と社内に呼びかけても、まず全部は出てきません。本人が忘れていたり、申告すると取り上げられると思われたりするからです。

私がおすすめしているのは、支払いから逆算する方法です。

  • 法人カードの明細を3か月分さかのぼり、海外サービスへの少額の引き落としを抜き出す
  • 経費精算の履歴から、サブスクリプション名目の申請を抜き出す
  • 社内の共有フォルダで、AIツール名が入ったファイル名を検索する

天神の広告制作会社さんとは、3か月分の明細をたどってAIツールを洗い出しました。中には誰も使わないまま課金が続いていたツールがあり、解約するだけで固定費が下がりました。

退職・異動が決まったら順番に進める5ステップ

順番を守ると、業務を止めずに引き継げます。

  • 1. 棚卸し表を開いて、対象者が契約者か管理者になっているツールを抜き出す
  • 2. 業務を止めないツールから名義を移す:解約が先だと、進行中の仕事が止まります
  • 3. 会話履歴とアップロード済みの資料を確認する:顧客情報が残っていれば、引き継ぎ先を決めるか削除する
  • 4. 支払い方法を会社名義へ切り替える:個人カードのままだと、退職後に決済が止まります
  • 5. 最終出社日にアクセス権を外す:パスワード変更ではなく、アカウントの削除または無効化で

順番で一番間違えやすいのが2番と5番の関係です。最終出社日に慌てて全部を止めると、翌週の業務が動かなくなります。名義移しを先に済ませてください。

個人アカウントで始めてしまった場合の直し方

すでに個人のメールアドレスで契約している場合でも、途中から直せます。

  • 会社ドメインのメールアドレスで新しいアカウントを作る
  • チームプランやビジネスプランがあれば切り替える。管理者が全員の利用状況を見られるようになります
  • 個人アカウントで作った設定や指示文(プロンプト)を、共有フォルダへ書き出す
  • 移行が終わってから、個人アカウントを解約する

指示文の書き出しを飛ばす会社が多いのですが、実は一番価値のある資産です。半年かけて調整した指示文が退職と一緒に消えると、次の担当者はゼロから作り直すことになります。

会話履歴とアップロード資料は「データ」として扱う

AIツールの会話履歴には、顧客名・金額・社内の判断理由が残ります。書類と同じ扱いが必要です。

福岡の運送会社さんからは「見積の相談をAIにしていたが、履歴に取引先の名前が残っていた」と相談を受けました。棚卸し表の「入れているデータ」欄が埋まっていれば、退職時に確認すべきツールがすぐ分かります。

確認しておきたいのは3点です。履歴を削除できるか、削除にどれくらい時間がかかるか、入力内容が学習に使われない設定になっているか。契約プランによって設定できる範囲が変わるので、ツールごとに確認してください。

月1回15分の点検に落とし込む

棚卸し表は作って終わりにすると、半年で実態と合わなくなります。私がおすすめしているのは、月1回15分の点検です。

  • 新しく契約したツールを1行追加する
  • 使っていないツールに印を付ける。2か月続いたら解約を検討する
  • 更新日が翌月に来るツールを確認する

15分で終わる仕組みにしておくと続きます。担当者が変わっても、表を見れば引き継げる状態が保てます。

まとめ

  • AIツールは金額が小さく個人名義で始まるため、管理の網から漏れやすい
  • 棚卸し表は7列。とくに「入れているデータ」と「退職時にやること」を埋める
  • 申告を待つより、法人カードの明細3か月分から逆算するほうが早い
  • 退職時は名義移しを先に、アクセス権の削除を最後に
  • 調整済みの指示文は資産。退職前に共有フォルダへ書き出す

KOKORASHI AIでは、福岡の中小事業者向けにAI導入の設計から運用ルールづくりまで、初期費用0円・月額4,800円(税込)からお手伝いしています。棚卸しの進め方からご相談いただけます。

よくある質問

Q. AIツールの棚卸しは何から始めればよいですか。
法人カードの明細を3か月分さかのぼり、海外サービスへの少額の引き落としを抜き出すところから始めてください。社内に申告を呼びかけても全部は出てきません。抜き出したツールをスプレッドシート1枚にまとめ、ツール名・用途・契約者・管理者アカウント・料金と更新日・入れているデータ・退職時にやること、の7列で管理します。

Q. 退職者のAIツールのアカウントは、すぐ止めてよいですか。
すぐ止めると進行中の業務が動かなくなります。順番として、まず業務で使っているツールの名義を後任へ移し、会話履歴と資料を確認し、支払い方法を会社名義へ切り替えてから、最終出社日にアクセス権を外してください。パスワード変更ではなく、アカウントの削除または無効化で対応します。

Q. 個人のメールアドレスで契約したAIツールは、途中から会社名義に直せますか。
直せます。会社ドメインのメールアドレスで新しいアカウントを作り、チームプランやビジネスプランがあれば切り替えます。移行のときに忘れがちなのが、個人アカウントで調整した指示文(プロンプト)の書き出しです。共有フォルダへ保存してから、個人アカウントを解約してください。

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