ChatGPTに業務マニュアルを読ませて、社内の質問に答えさせる方法
福岡の事業者向けに、ChatGPTへ業務マニュアルを読ませて社内の質問に自動回答させる方法を解説。GPTsの作り方、PDFの渡し方、社内定着のコツまで、実際の相談例をもとにKOKORASHI AIの野村が紹介します。
野村 直矢
KOKORASHI AI / 福岡のAI導入支援・LINE Bot開発
「同じ質問が新人さんから何度も飛んできて、そのたびにベテランが手を止める。マニュアルはあるんですけど、誰も読まないんですよ」。先日、博多区の物流系の会社さんから受けた相談です。私もよく分かります。マニュアルは「置いてあるだけ」では機能しません。結論からお伝えすると、その紙のマニュアルをChatGPTに読ませてしまえば、社員が話し言葉で聞くだけで答えが返る「社内の問い合わせ係」が作れます。専門知識はいりません。この記事で、その作り方と福岡の現場での使われ方を、順を追ってお話しします。
そもそも「マニュアルを読ませる」とは何をしているのか
私はKOKORASHI AI(ココラシエーアイ)という、福岡でAI導入支援とLINE Bot開発をやっている事業の野村と申します。よく「ChatGPTって賢いけど、ウチの業務は知らないですよね?」と聞かれます。その通りで、ChatGPTは世間一般の知識は持っていますが、御社の就業規則も、レジ締めの手順も知りません。
そこで使うのが、自分のファイルを渡して「これを参考に答えてね」と指示する機能です。仕組みはとてもシンプルで、こういう流れになります。
- マニュアルをPDFやWordで用意する(すでにあるものでOK)
- そのファイルをChatGPTに読み込ませる
- 社員は「有給って何日前に申請?」と話し言葉で聞く
- ChatGPTがファイルの中から該当箇所を探して答える
天神のあるサロンさんでは、入社初日のスタッフが店長に聞きづらいことを、まずこのボットに聞いてから動くようになったそうです。「人に聞く前のワンクッション」ができるだけで、現場の空気はずいぶん変わります。
準備するのは「散らかったマニュアル」を1本にまとめること
実際に多いのが、「マニュアルが10個のExcelとLINEのメモと先輩の頭の中に分散している」というケースです。早良区の介護施設さんがまさにこれで、最初の相談は「どこから手をつければ?」でした。
私がいつもお伝えするのは、完璧を目指さず、まず1本のファイルに寄せることです。AIに読ませる前の下準備として、こう進めます。
- バラバラの手順を、1つのWord(またはGoogleドキュメント)にコピペで集める
- 「見出し」を付ける(例:「電話対応について」「シフト申請について」)
- 古い情報・矛盾している記述はこの段階で消す
- 最後にPDFで書き出す
見出しを付けるのは地味ですが効きます。AIは見出しを手がかりに該当箇所を探すので、答えの精度がはっきり上がります。この整理作業そのものが、社内のルールを棚卸しする良い機会にもなります。介護施設さんは「整理してたら、もう使ってない手順が3つ出てきた」と笑っていました。
GPTsで「自社専用の問い合わせボット」を作る
ファイルが用意できたら、いよいよ作ります。ChatGPTの有料版(月20ドルから)には「GPTs(ジーピーティーズ)」という、自分専用のAIを作れる機能があります。これを使うと、毎回ファイルを貼り付けなくても、開けばすぐ質問できる専用ボットになります。
作り方は画面の案内に沿って進めるだけですが、押さえるべきは2つです。
- 指示文を書く:「あなたは当社の総務担当です。アップロードしたマニュアルだけを根拠に、社員からの質問に丁寧に答えてください」と性格を決める
- ファイルをアップロードする:さきほど作ったPDFを「知識」として登録する
糸島市の製造業の事業者さんとは、この設定を一緒に画面共有しながら30分ほどで作りました。出来上がったボットに「設備の点検は誰がやる?」と聞くと、マニュアル通りに即答してくれて、社長さんが「これ、夜中でも答えてくれるんですよね?」と驚いていたのが印象的でした。24時間動くというのは、シフト勤務のある現場では地味に大きな価値です。
「答えられない質問」を防ぐ指示の書き方
導入してしばらくすると、必ず出てくる相談があります。「マニュアルに載ってないことを、それっぽく嘘で答えてしまう」というものです。AIは親切すぎて、分からないことも推測で埋めようとする癖があります。
これは指示文で防げます。私が現場でお伝えしているのは、次の一文を必ず入れることです。
- 「マニュアルに記載がない場合は、推測せず『マニュアルに記載がありません。担当者にご確認ください』と答えてください」
この一文を足すだけで、嘘の回答がぐっと減ります。中央区の士業事務所さんでは、この指示を入れる前は「あいまいな回答が怖くて使えない」という声でしたが、入れた後は「分からないものは分からないと言ってくれるから、逆に信頼できる」と評価が変わりました。AIに何でも答えさせようとしないことが、かえって安心して使える形につながります。
無料版とのちがい、そしてセキュリティの考え方
「無料のChatGPTでもできますか?」もよく聞かれます。ファイルを1回読ませて質問するだけなら無料版でもできますが、GPTsで専用ボットを作って社内に配るには有料版が必要です。月20ドルで業務の問い合わせ対応が回るなら、私は十分に元が取れる投資だと考えています。
もう一つ大事なのが、入れて良い情報の線引きです。相談でよくあるのが「顧客の個人情報や、外に出せない数字を入れて大丈夫?」という不安です。私がお伝えしている考え方はこうです。
- 手順・ルール・FAQなど「社外に漏れても致命的でない情報」から始める
- 個人情報や機密の数字は、最初は入れない
- 本格的に機密を扱うなら、法人向けプランや別の仕組みを検討する
南区の小売店さんとは、まず接客マニュアルと返品ルールだけで小さく始めました。いきなり全部を入れようとせず、効果が見える範囲から広げるのが、結局いちばん失敗しないやり方です。
作って終わりにしない。定着のコツは「質問ログ」
いちばんもったいないのが、作っただけで誰も使わなくなるパターンです。これを防ぐコツは、どんな質問が来たかを定期的に見ることです。
ボットに来た質問を眺めると、現場の「つまずきポイント」が見えてきます。私が支援先にお願いしているのは、この回し方です。
- 月に1回、よく来た質問・答えられなかった質問を確認する
- 答えられなかったものは、マニュアル(PDF)に追記して更新する
- 更新したファイルをGPTsに入れ直す
博多区の物流会社さんは、この見直しを2回ほど回したところで「新人から同じ質問が来る回数が明らかに減った」と実感されていました。数字で管理したい場合は、導入前に「ベテランが質問対応に取られていた時間」をざっくり記録しておき、前後で比べると効果が見えやすくなります。マニュアルは一度作って終わりではなく、ボットと一緒に育てていくものだと考えてください。
まとめ
- マニュアルをChatGPTに読ませれば、社員が話し言葉で聞ける社内の問い合わせ係が作れる
- まず散らかった手順を1本のPDFにまとめ、見出しを付けるのが下準備のコツ
- GPTs(月20ドルから)で専用ボット化すれば、開くだけで24時間質問できる
- 「記載がなければ推測せず担当者へ」の一文で、嘘の回答を防ぐ
- 個人情報・機密は最初は入れず、手順やFAQから小さく始める
- 質問ログを月1で見直し、マニュアルを更新し続けることで定着する
「ウチのマニュアルでもできる?」と思われたら、整理の段階からご一緒できます。KOKORASHI AIでは初期費用0円・月額4,800円(税込)から、福岡の事業者さんに合わせた小さな導入をお手伝いしています。
よくある質問
Q. 無料版のChatGPTでも社内Q&Aボットは作れますか?
ファイルを1回読み込ませてその場で質問するだけなら無料版でも可能です。ただし、毎回ファイルを貼り直す手間なく社内に配れる『専用ボット(GPTs)』を作るには、月20ドルからの有料版が必要です。複数人で日常的に使うなら有料版をおすすめします。
Q. 顧客の個人情報や社外秘の数字を入れても大丈夫ですか?
最初は入れないことをおすすめします。まずは手順・ルール・FAQなど、外に漏れても致命的でない情報から始めるのが安全です。本格的に機密情報を扱いたい場合は、法人向けプランや社内に閉じた別の仕組みを検討する必要があるので、その際はご相談ください。
Q. マニュアルにない質問に、AIが嘘で答えてしまわないか心配です。
指示文に『マニュアルに記載がない場合は、推測せず担当者に確認するよう案内してください』という一文を入れることで、嘘の回答を大きく減らせます。AIに何でも答えさせようとせず、分からないものは分からないと言わせる設計が、安心して使うコツです。
