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EU AI法の「AIと表示する」義務が8月2日スタート|高リスク規制は2027年末へ延期、福岡の事業者はどこを見るべきか

EU AI法の第50条・透明性義務が2026年8月2日から適用開始。一方で高リスクAIの義務は2027年12月へ延期されました。福岡の中小事業者が今どこを見て、何を準備すればいいかを整理します。

野村直矢

野村 直矢

KOKORASHI AI / 福岡のAI導入支援・LINE Bot開発

「うちのサイトのAIチャット、法律で何か表示しないといけないんですか?」——ここ数日、福岡の事業者さんからこの手の質問が続けて届きました。きっかけは、EU(欧州連合)のAI法で2026年8月2日から「透明性義務」が適用開始になったというニュースです。結論から言うと、日本国内だけで商売をしている事業者に今すぐ罰則が飛んでくる話ではありません。ただし「AIが答えていると分かるようにする」という方向性は世界共通で固まりつつあるので、今のうちに手を打っておくと後がラクになります。私はKOKORASHI AI(ココラシエーアイ)として福岡でAI導入のお手伝いをしていますが、この話は「怖がる」より「先に整える」が正解だと考えています。

8月2日から何が始まったのか

適用が始まったのは、EU AI法の第50条にあたる透明性(Transparency)に関する義務です。欧州委員会は2026年7月20日に、この第50条の解釈を示すガイドラインを採択しました。義務の対象として整理されているのは、大きく次の4つの場面です。

  • 人が直接やり取りするAI(チャットボットなど):相手がAIだと分かるようにする
  • AIが生成したコンテンツ:機械が判読できる形でマーキングする
  • 感情認識・生体分類のシステム:対象者に知らせる
  • ディープフェイク、および公共の関心事に関するAI生成テキスト:AIで作った/加工したことを開示する

特に分かりやすいのがディープフェイクの扱いです。実在の人物に見える・聞こえるコンテンツは、だますつもりが無くても、また描かれているのが実在の人物でなくても表示が必要と整理されています。違反した場合の制裁金は、報じられている範囲で最大1,500万ユーロまたは全世界年間売上高の3%とされています。

同時に「高リスク規制」は2027年12月へ延期された

ここが今回のニュースで見落とされやすい点です。EU AI法はもともと、2026年8月2日から高リスクAIシステムの義務も本格適用される予定でした。ところが「デジタル・オムニバス」と呼ばれる規則がEU官報に掲載されて発効し、附属書IIIに挙がっている独立型の高リスクAIの義務適用は2027年12月2日へ規制対象製品に組み込まれる型は2028年8月2日へ、それぞれ後ろ倒しになりました。

つまり8月2日に起きたことを一言でまとめると、「表示のルールは予定どおり始まり、重い方の規制は1年4か月ほど先送りされた」ということです。「EU AI法が全面施行された」と読める見出しも見かけますが、実際には中身によって時計が別々に動いています。ニュースを読むときは、どの条文の話なのかを必ず確認してください。

福岡の中小事業者に、直接効くのか

正直に書きます。私は法律の専門家ではありませんので、個別の適用可否は断定できません。その前提で一般論を言うと、EUの法律ですから、基本的にはEU域内に向けてAIシステムやAI生成コンテンツを提供している事業者が主な対象です。福岡で地元のお客さま向けにLINE Botを動かしている工務店さんが、明日から制裁金を心配する必要はまずありません。

一方で、次のようなケースは「自分は関係ない」と切り捨てない方がいいと思っています。

  • インバウンド向けに多言語サイトを運営していて、欧州からの予約も受けている
  • 越境ECで欧州の消費者に販売している
  • 欧州の企業と取引があり、取引先から自社のAI利用について確認を求められる可能性がある

心当たりがあるなら、AIの話としてではなく取引先対応・契約実務の話として、顧問の士業さんに一度確認するのが確実です。福岡でも、こうした問い合わせは士業事務所に増えていくはずです。

それでも、今から整えておくと得な3つのこと

私がお客さまに勧めているのは、法律に急かされて動くのではなく、お客さまへの誠実さとして先にやってしまうという順番です。実務としては次の3つで十分に前進します。

  • チャットの冒頭に「AIが自動で回答しています」と一文置く:これだけで問い合わせの温度感が変わります。人だと思って重い相談を打ち込んだ末に定型文が返ってくる、という一番よくない体験を防げます
  • AIで作った画像・文章の扱いを社内で決める:販促バナーの背景はAI生成でよい、実在のスタッフに見える人物画像は作らない、といった線引きを紙一枚にまとめておく
  • 有人に切り替える導線を必ず用意する:AIが答えられないときに人へ渡す出口があるかどうかは、規制の有無に関係なく信頼を左右します

実際に多い相談:「AIで作った画像、載せていいんですか?」

天神で店舗を運営している事業者さんから、まさにこの質問をいただきました。私がお伝えしたのは、法律論の前に「その画像を見たお客さまが、来店したときにガッカリしないか」で判断してください、ということです。実際の店内と違う内装をAIで作ってメインビジュアルにすれば、法律をクリアしていても信用は落ちます。逆に、背景やイメージカットとしてのAI画像は、用途をはっきりさせて使えば問題になりにくい。

もうひとつ、私が強くお勧めしないのが実在しない「お客さまの声」や、AIで作った人物写真をスタッフとして載せることです。これは表示の有無以前に、事業者としての信頼を直接削ります。KOKORASHI AI自身も、代表は実名と手描きのキャラクターで出しています。小さな事業者ほど、顔と名前が資産です。

まとめ

  • 2026年8月2日から、EU AI法の透明性義務(第50条)が適用開始。AIとの対話・AI生成コンテンツ・ディープフェイクの表示が対象
  • 高リスクAIの義務適用は、デジタル・オムニバスにより2027年12月2日(組込み型は2028年8月2日)へ延期
  • 日本国内中心の事業者に直接効く場面は限られるが、欧州との取引・越境ECがあるなら士業に確認を
  • 「AIが回答しています」の一文と、有人への切り替え導線は、規制と関係なく今日から入れる価値がある

よくある質問

Q. 福岡でLINE公式アカウントのAI自動応答を使っています。EU AI法への対応は必要ですか?
国内のお客さま向けに運用しているだけであれば、EU AI法が直接適用される場面は基本的に限られます。ただし個別の判断は法律の専門家の領域ですので、欧州との取引がある場合は顧問の士業にご確認ください。実務としては「AIが自動で回答しています」と最初に表示し、人に切り替える導線を用意しておけば、規制の有無に関わらず安心して運用できます。

Q. 8月2日でEU AI法は全面施行されたのですか?
いいえ。適用が始まったのは透明性義務(第50条)で、高リスクAIシステムに関する義務は「デジタル・オムニバス」により2027年12月2日へ延期されました(規制対象製品に組み込まれる型は2028年8月2日)。条文ごとに適用時期が異なるため、ニュースを読む際はどの部分の話かを確認することをおすすめします。

Q. AIで作った画像を自社サイトや販促に使うとき、何に気をつければいいですか?
まず用途を分けて考えてください。背景やイメージカットとしての利用は比較的問題になりにくい一方、実在しない店内や、スタッフに見える人物写真、架空の「お客様の声」は、法規制以前に信用を損ないます。社内で「使ってよい範囲」を紙一枚のルールにまとめ、判断を属人化させないことをおすすめします。

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