KOKORASHI AIKOKORASHI AI

福岡のBtoB製造業がAIで技術問い合わせに対応する方法|設計担当の手を止めない仕組み

福岡のBtoB製造業向けに、技術問い合わせをAIと人で切り分ける方法を解説。材質・規格・標準納期の確認はAI、設計変更は人。2週間で始める手順と効果の測り方まで。

野村直矢

野村 直矢

KOKORASHI AI / 福岡のAI導入支援・LINE Bot開発

私がKOKORASHI AI(ココラシエーアイ)で福岡のBtoB製造業の方から一番よく聞くのは、「問い合わせフォームに届くのは技術的な質問ばかりで、設計担当が手を止めて返信している」という声です。結論から言うと、技術問い合わせを全部AIに任せる必要はありません。カタログや仕様書を見れば分かる質問だけをAIに切り出すと、設計担当の時間が戻ってきます。福岡の中小製造業が2週間で始められる進め方を書きます。

技術問い合わせが設計担当の時間を奪う仕組み

福岡市東部の金属加工会社さんから、「新規の引き合いは増えているのに、見積もりを出すスピードが落ちた」という相談を受けたことがあります。話を聞くと、フォームから来る質問の多くが「対応可能な板厚は」「表面処理は何が選べるか」「最小ロットはいくつか」といった内容でした。

質問自体は難しくありません。難しいのは、答えられる人が設計担当か工場長に限られている点です。営業事務の方が代わりに答えようとしても、間違った数値を伝えると後で修正が効かないため、結局は設計担当に回ります。設計担当は図面を開いている途中で中断され、戻るまでに時間がかかります。

私がいつもお伝えするのは、「質問が難しいから止まっている」のではなく「答えていい範囲が決まっていないから止まっている」ということです。範囲を決めれば、機械に任せられる部分が見えてきます。

製造業の問い合わせは3つの層に分かれる

相談を受けた会社の問い合わせを1か月分並べてもらうと、たいてい3つの層に分かれます。

  • 第1層:カタログ・仕様書に書いてある確認(対応材質、寸法範囲、標準納期、最小ロット、対応可能な図面形式)
  • 第2層:過去の実績を照らせば答えられる質問(似た形状の加工実績、同業界への納入経験、試作から量産までの一般的な流れ)
  • 第3層:図面を見て判断が要る相談(公差の実現可否、設計変更の提案、特注品の見積もり、量産時のコスト削減案)

件数で見ると、第1層が最も多くなる会社がほとんどです。金額で見ると、利益が出るのは第3層です。件数の多い層と、売上につながる層が一致していないのが、製造業の問い合わせ対応がしんどくなる理由です。

第1層はAIに任せる|材質・規格・標準納期の確認

第1層は、答えが文書として確定しています。カタログPDF、仕様一覧、加工可能範囲の表をAIに読み込ませておけば、24時間いつ質問が来ても同じ答えを返せます。

導入するときに私が必ずやってもらうのは、回答の根拠になる資料を1つに束ねる作業です。営業が使う古いカタログと、工場が使う現行の加工範囲表で数値が違う会社は少なくありません。数値がずれたままAIに読ませると、間違いをそのまま自動で配る仕組みになってしまいます。

資料をそろえる作業は面倒ですが、AI導入とは関係なく効きます。営業と工場が同じ数字を見るようになるだけで、社内の確認往復が減ります。

第2層は下書きまでAIに作らせる|実績照会と一次返信

第2層は、AIが最終回答を出すには危ういけれど、下書きなら十分に作れます。「以前に同じような部品を扱ったことはありますか」という質問に対して、AIが公開可能な実績から候補を拾い、営業担当が確認して送る形にします。

私は福岡の事業者向けにLINE公式アカウントやフォームとAIをつなぐ仕組みをよく作りますが、第2層で効果が出やすいのは「一次返信の速さ」です。問い合わせから数分で「お問い合わせありがとうございます。近い加工の実績としては次の内容がございます。詳細は担当より改めてご連絡します」と返るだけで、相手が他社に流れる確率は下がります。

BtoBの引き合いは、相手も社内で報告を上げています。返信が翌営業日になると、報告のタイミングを逃します。正確な最終回答より先に、届いたという事実と大枠を返すことに価値があります。

第3層は人が答える|設計変更と特注の相談

公差の実現可否や特注の見積もりは、AIに任せてはいけない領域です。図面の意図、材料の手配状況、工場の稼働、過去のトラブル履歴といった、文書になっていない判断が入るためです。

むしろ第3層こそ、設計担当に時間を使ってほしい仕事です。第1層と第2層を機械側に寄せる目的は、人員を減らすことではなく、利益が出る相談に人を寄せることにあります。福岡の中小製造業は少人数の会社が多く、一人が営業も設計も見ているケースが珍しくありません。時間の配分を変えるだけで受注の中身が変わります。

AIに読ませる前に「答えていい情報」を線引きする

製造業のAI導入で最初に詰まるのが、社外に出していい情報の線引きです。実務では次の3つに分けて棚卸しすると進みます。

  • 公開可:カタログ掲載済みの仕様、標準納期、対応材質、会社概要、設備一覧のうち公開しているもの
  • 条件付き:取引先名を伏せた加工実績、業界単位の納入経験、価格の考え方(金額そのものは出さない)
  • 公開不可:顧客名入りの図面、単価表、原価、特定顧客との契約条件、取引先から預かった技術情報

秘密保持契約を結んでいる案件の情報は、要約であってもAIの回答対象に入れないのが原則です。線引きの表を先に作り、公開可の資料だけをAIに読ませます。表は一度作れば運用の判断基準としてそのまま使えます。

2週間で始める手順と、効果の測り方

私が福岡の事業者に勧めているのは、いきなり全社導入せず、よくある質問20問から始める進め方です。

  • 1〜3日目:過去1か月の問い合わせを書き出し、第1層・第2層・第3層に仕分ける
  • 4〜7日目:第1層で件数の多い20問を選び、公開可の資料と回答文をそろえる
  • 8〜11日目:フォームまたはLINE公式アカウントにAIの一次対応を組み込み、社内でテストする
  • 12〜14日目:答えられなかった質問を記録し、人に引き継ぐ導線を確認してから公開する

効果を測るときは、感覚ではなく記録で見ます。導入前の1か月と導入後の1か月で、設計担当に回った問い合わせの件数を数えるのが一番わかりやすい方法です。あわせて、問い合わせを受けてから一次返信を出すまでの時間も記録します。件数と時間の2つを並べると、社内で続けるかどうかを判断できます。

KOKORASHI AIでは初期費用0円・月額4,800円(税込)からAIチャットの導入を支援しています。私自身、印象診断LABOという約400万円規模の受託開発から、LINE Botやn8nを使った小さな自動化まで手がけてきました。製造業の場合は、大きく作るよりよくある20問から始めて、答えられなかった質問を毎月足していくやり方が結局は早く効きます。

まとめ

  • 技術問い合わせは第1層(資料で答えられる)・第2層(実績で答えられる)・第3層(判断が要る)に分ける
  • 件数の多い第1層をAIに任せ、設計担当は利益が出る第3層に時間を使う
  • AIに読ませる前に、公開可・条件付き・公開不可の線引き表を作る
  • よくある20問から2週間で始め、設計担当に回った件数と一次返信までの時間を記録して判断する

よくある質問

Q. 図面を送られてきた場合もAIが対応できますか。
図面の内容を読み取って可否を判断する部分は人が担当してください。AIに任せられるのは、受け付けた事実の返信、対応可能な図面形式の案内、担当者への引き継ぎ連絡までです。公差や加工可否の判断は文書化されていない知見が入るため、設計担当が確認してから回答する形が安全です。

Q. 取引先から預かった技術情報をAIに読ませても問題ありませんか。
秘密保持契約を結んでいる情報は、要約であってもAIの回答対象に入れないでください。導入前に公開可・条件付き・公開不可の3つに資料を仕分け、公開可の資料だけを読み込ませます。線引きの表を先に作っておくと、運用中に判断で迷わなくなります。

Q. 少人数の会社でも運用を続けられますか。
よくある20問から始めれば続けられます。毎月1回、AIが答えられなかった質問を見て回答を足す作業を30分ほど確保してください。最初から100問を用意すると更新が止まりやすいため、件数の多い質問に絞って小さく始める進め方を勧めています。

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