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PC操作を録画してAIに渡す時代へ|Microsoftの無料ツール公開が福岡の中小企業に示すこと

Microsoftが7月30日にPC操作を録画してAI用の手順に変換する無料ツール「Skill Recorder」を公開。開発者向けの段階ですが、福岡の中小企業が今日から備えられることを解説します。

野村直矢

野村 直矢

KOKORASHI AI / 福岡のAI導入支援・LINE Bot開発

「うちの業務、手順書が無いんですよ。ベテランの頭の中にしかなくて」——福岡の事業者さんから、私が本当によく聞く言葉です。KOKORASHI AI(ココラシエーアイ)として中小企業のAI導入をお手伝いしていると、この「手順が言葉になっていない」ことが最初の壁になる場面に何度も出会います。そこに関係する発表が7月30日にありました。Microsoftが、PC操作を録画してAI用の手順(スキル)に変換する無料ツール「Skill Recorder」を公開したのです。結論から言うと、これは今すぐ現場に配れるものではありません。ただ「手順は書くのではなく録る」という流れは確実に来ます。今日は、事実と、福岡の事業者が今できることを整理します。

何が公開されたのか

Skill Recorderは、デスクトップの操作を録画し、その内容をAIに解析させて「再利用できる手順」に変換するアプリです。GitHubでMITライセンスのオープンソースとして無償公開されました。対応OSはWindows 11、macOS、Ubuntu。バージョンは公開時点で0.3.1です。

使い方の流れはシンプルで、キーボードショートカットで録画を開始し、いつも通りの作業を行い、停止後に「解析」を実行します。すると操作の意図と手順がAIによって組み立て直され、ユーザーが内容を承認すると、Microsoft ScoutやCopilot Cowork、Copilot Studioで使えるスキルや自動化として書き出せる、という仕組みです。

ポイントは「フローチャートを書く」のではなく「いつもの作業をそのまま見せる」だけで済むところにあります。手順書づくりが進まない現場ほど、この発想の転換は効きます。

何を記録して、何が外に出るのか

導入を考えるなら、ここが一番大事です。Skill Recorderが記録するのは、ウィンドウの切り替え、ブラウザのURL、画面の映像(低頻度のスナップショット)、クリップボードのテキストのプレビュー、そして任意で音声ナレーションです。

処理は既定でローカル、つまり手元のPCの中で行われます。外部に送られるのは、利用者が自分で「解析」を実行したときだけです。ただし開発元は、パスワードやAPIキーのような機密情報をフィルタリングする機能は無いと明記しています。つまり「録画中に何を画面に出すか」は人が管理するしかないということです。

私が福岡の事業者さんに必ずお伝えしているのは、顧客情報が並んだ管理画面や、パスワード入力の瞬間は録らない、という単純なルールを先に決めることです。ツールが賢くなっても、ここは変わりません。

現時点では「開発者向け」。ここを誤解しない

期待が先走らないように、正直に書きます。Skill Recorderは、完成したインストーラーが配られている製品ではありません。導入はターミナル(黒い画面)でのコマンド操作が前提で、解析にはGitHub Copilotとの連携が必要です。書き出し先もMicrosoftのCopilot系サービスです。

ですから「明日から事務スタッフに使わせる」という段階のものではない、というのが私の見立てです。バージョン番号が0.3.1であることからも、まだ動きが変わる可能性が高い段階だと考えるのが自然でしょう。

それでも取り上げるのは、方向性がはっきり見えるからです。AIに仕事を任せるための入力が、文章から「実際の操作そのもの」に変わりつつある。この流れは、いずれ使いやすい形で降りてきます。

福岡の中小企業が今日からできる備え

先日も、博多の卸売業の方から「担当が辞めたら誰も受発注の流れが分からない」というご相談を受けました。こういう会社が今日からできることは、実はツール選びではありません。

  • まず画面録画を残す:WindowsでもMacでも標準機能で画面収録ができます。月末処理や受発注の入力を、一度だけ録っておく。
  • 声で理由を足す:録画しながら「ここは在庫が無いときだけ担当に確認する」と口に出す。この一言が、後でAIにも人にも効いてきます。
  • 録らない場所を決める:ログイン画面、顧客名簿の一覧、金融機関のサイトは録画対象から外す。
  • 1業務15分以内に区切る:長い録画は使いにくくなります。工程ごとに分けて残す。

この4つをやっておけば、Skill Recorderのようなツールが使いやすくなった瞬間に、素材がすでに手元にある状態になります。逆に素材が無ければ、どんなに良いツールが出ても最初の一歩でつまずきます。

「録画を渡す」時代に、社内で先に決めておくこと

操作を録ってAIに渡す運用が当たり前になると、社内ルールの論点も変わります。私が事前に決めておくことをお勧めしているのは次の3点です。

  • 誰の操作を録っていいか:本人の同意を取る。無断で他人の画面を録らない。
  • 録画データをどこに置くか:個人のPCに散らばらせず、会社の共有フォルダで管理する。
  • AIが作った手順を誰が承認するか:AIが組み立てた手順をそのまま業務に使わず、必ず担当者が中身を確認してから運用に乗せる。

特に3つ目は重要です。録画から起こした手順は、たまたまその日だけの操作(例外処理)を「毎回やること」として拾ってしまう可能性があります。人のチェックを挟む前提で設計してください。

まとめ

  • Microsoftが7月30日、PC操作を録画してAIの手順に変換する無料ツール「Skill Recorder」をオープンソースで公開した。
  • 記録はローカル処理が既定だが、機密情報の自動フィルタは無く、何を画面に映すかは人の管理が必要。
  • 現時点はターミナル操作が必要な開発者向けの段階で、すぐ現場配布できるものではない。
  • 福岡の中小企業が今できるのは、標準の画面収録で日常業務を録り、声で理由を添えて残しておくこと。

KOKORASHI AIでは、こうした「手順が人の頭の中にしかない」状態の整理から、AIチャットや業務自動化の導入まで、初期費用0円・月額4,800円(税込)からお手伝いしています。まずは録るところからで大丈夫です。

よくある質問

Q. Skill Recorderは今すぐ社内で使えますか?
現時点ではおすすめしません。完成したインストーラーが配布されているわけではなく、導入にターミナルでのコマンド操作が必要で、解析にはGitHub Copilotとの連携が前提です。バージョンも0.3.1と初期段階のため、まずは標準の画面収録で素材を残す準備から始めるのが現実的です。

Q. 操作を録画すると情報漏えいが心配です。
Skill Recorderの処理は既定でローカル(手元のPC内)で行われ、外部に送られるのは利用者が解析を実行したときだけです。ただしパスワードやAPIキーを自動で伏せる機能は無いと開発元が明記しているため、ログイン画面や顧客名簿は録画しないという社内ルールを先に決めてください。

Q. 手順書を作るのとAIに録画を渡すのは、どちらが良いですか?
目的が違います。人が読む手順書は判断の理由まで書く必要がありますが、AIに渡す録画は操作の順番をそのまま残せるのが利点です。実務では、録画で操作を残し、声のナレーションで「なぜそうするか」を補うと、人にもAIにも使える資料になります。

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