KOKORASHI AIKOKORASHI AI

取引先から届いた契約書・注文書をAIで「下読み」する手順|見落としを減らす使い方

契約書や注文書のチェックを後回しにしていませんか。福岡の中小事業者向けに、AIを「下読み係」として使い、確認すべき条項を洗い出す具体的な手順と、AIに任せてはいけない線引きを解説します。

野村直矢

野村 直矢

KOKORASHI AI / 福岡のAI導入支援・LINE Bot開発

「取引先から送られてきた基本契約書、正直ちゃんと読めていません」。福岡の中小事業者さんとお話ししていて、いちばん本音が出るのがこの話題です。私はKOKORASHI AI(ココラシエーアイ)として福岡でAI導入の相談を受けていますが、契約書チェックは「重要なのに、時間が取れず後回しになる業務」の代表格だと感じています。

結論から言います。AIに契約書の"判断"をさせてはいけません。しかし"下読み"は任せていい。読み飛ばしを防ぎ、「ここは確認したほうがいい」という付箋を貼る作業なら、AIは非常に得意です。

AIに任せていい範囲・任せてはいけない範囲

まずここを間違えると危険なので、線引きから書きます。

  • 任せていい:長い文章の要約、条項の一覧化、専門用語をやさしく言い換える、他社契約との違いを並べる、確認すべき論点を挙げる
  • 任せてはいけない:「この契約を結んでいいか」の判断、法的に有効かどうかの結論、相手方への修正要求文をそのまま送ること

AIの回答は、もっともらしい言い回しで断定してきます。しかしそれは法的な保証ではありません。金額が大きい契約や、継続的な取引の土台になる契約は、必ず弁護士や顧問の専門家に確認してください。AIは、専門家に相談する前の"論点整理"を担当する係だと考えると、ちょうどいい距離感になります。

手順1:全文を渡して「条項の一覧」を作らせる

PDFやWordをそのまま読み込ませ、最初にやるのは要約ではなく一覧化です。「この契約書に含まれる条項を、見出しと1行説明の表にしてください」と頼みます。

これだけで、20ページの契約書が1画面に収まります。博多の事業者さんとこれをやったとき、「そもそも何が書いてあるか分からない」という状態が10分で解消しました。全体像が見えると、読む気力が湧くのも大きいです。

手順2:自社の立場を伝えて「不利な箇所」を挙げさせる

次に、自分がどちら側なのかを必ず伝えます。「私は受注する側の小規模事業者です。この契約書のうち、受注側にとって負担が重い可能性がある条項を挙げ、理由も添えてください」。

立場を伝えないと、AIは中立的な一般論しか返しません。逆に立場を明示すると、次のような論点を拾ってくれます。

  • 支払いサイト(いつ入金されるか)
  • 検収の基準と、検収されなかった場合の扱い
  • 損害賠償の上限があるかどうか
  • 知的財産・成果物の権利がどちらに帰属するか
  • 中途解約の条件と、解約時の費用
  • 秘密保持の範囲と期間

手順3:「書かれていないこと」を探させる

私がいちばん価値があると感じているのがこれです。「この契約書に書かれていないため、後でもめる可能性がある事項を挙げてください」と聞きます。

人間は書いてあるものを読むのは得意ですが、「無いもの」に気づくのは苦手です。仕様変更が起きたときの追加費用、作業範囲の外側、保守の対応時間。こうした"空白"は、トラブルになって初めて気づくことがほとんどです。AIに空白を指摘させるだけで、事前の打ち合わせで聞くべきことが決まります。

手順4:質問リストの形にして人に渡す

最後に、出てきた論点を質問リストに変換します。「上記の懸念点を、取引先の担当者に確認するための質問文にしてください。角が立たない丁寧な言い方で」と頼めば、そのまま打ち合わせで使えるメモになります。

ここで大事なのは、生成された文章をそのまま相手に送らないことです。必ず自分で読み、自社の言葉に直してから使う。相手は長い付き合いのある取引先であることが多く、文面の温度感は人が決めるべき部分です。

注文書・発注書にも同じやり方が効く

契約書ほど堅くない注文書や発注メールにも、同じ手順が使えます。とくに効くのが次の2つです。

  • 数量・単価・納期の突き合わせ:自社の見積書と発注書を並べて渡し、「差異があれば箇条書きで」と頼む。転記ミスや条件の食い違いが一発で出ます
  • 過去の取引条件との比較:前回の注文条件と並べて、変わっている点だけを出させる

糸島の製造業の方から「単価が前回と違っていたのに気づかず出荷していた」というお話を伺ったことがあります。突き合わせは人がやると集中力が要る作業で、まさにAI向きです。

社内で決めておきたい3つのルール

  • 入力していい書類の範囲を決める:取引先名や個人名が入る書類は、社内で扱いを決めてから。名前を伏せて渡す運用でも下読みは十分機能します
  • 入力内容が学習に使われない設定・プランかを確認する:契約書は機密性が高い書類です。ここは導入前に必ず確認してください
  • 金額の大きい契約は専門家へ回す基準を決める:「この金額以上は必ず相談」と先に決めておくと、判断に迷いません

KOKORASHI AIでは初期費用0円・月額4,800円(税込)からAI活用のご支援をしています。契約書の下読みのような"守りの業務"は、成果が見えにくい分だけ後回しにされがちですが、一度型を作れば毎回きく仕組みになります。

まとめ

  • AIは契約書の判断役ではなく「下読み係」として使う
  • 条項の一覧化 → 自社の立場を伝えて不利な箇所を洗い出す、の順で進める
  • 「書かれていないこと」を挙げさせると、事前に聞くべきことが決まる
  • 生成した文面はそのまま送らず、必ず自社の言葉に直す。金額の大きい契約は専門家へ

よくある質問

Q. AIの回答をもとに契約内容を判断してもいいですか?
判断の材料にはできますが、判断そのものをAIに委ねるのは避けてください。AIは断定的な言い回しで答えますが、それは法的な保証ではありません。取引金額が大きい契約、継続的な取引の土台になる契約、初めての取引先との契約は、弁護士など専門家の確認を受けることをおすすめします。AIは専門家に相談する前の論点整理として使うのが安全です。

Q. 契約書をAIに読み込ませるのは情報漏洩になりませんか?
利用するプランの設定によります。入力内容が学習に使われない設定・プランを選ぶことが前提で、そのうえで社内ルールとして「入力していい書類の範囲」を決めておくと安全です。取引先名や担当者名を伏せた状態で渡しても、条項の洗い出しという目的は十分に果たせます。まずは伏せて渡す運用から始めるのが現実的です。

Q. どのくらい時間が短縮できますか?
短縮できる時間は書類の量や内容によって変わるため、一律の数字は出せません。おすすめしているのは、導入前に「1件あたり何分かかっていたか」を数回分メモしておき、導入後の所要時間と比べる方法です。自社の実数で比較すれば、続ける価値があるかどうかを自分たちの基準で判断できます。

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